[ 第1回 ] ものすごく疲れたけど、どの作品よりも夢中になれた
受賞対象作は「フラガール」「虹の女神」「ハチミツとクローバー」。昨年は他にも3作が公開された。「1作ごとに変わっていく。作品にかかわる怖さも覚えた」と振り返る。
評価の中心となったのは「フラガール」。昭和40年、傾きかけた福島県の炭鉱でフラダンスに打ち込む高校生、紀美子を瑞々しく演じた。起死回生策のハワイアンセンターで、目玉のダンサーになるべく特訓を受けるのだ。圧巻は、センター開業で見せる見事なタヒチアンダンス。幼いころからクラシックバレーを学んだと聞けば、素人目にはさすが基礎が違うと感心してしまうが、さにあらず。
「その技術がかえって足を引っ張って。コツは別の所にあって、大変でした。映画は最後のダンスにすべてがかかっている気がして、皆が楽しみにしているのが分かっていたしプレッシャーでした。何度も負けそうになって、逃げ出したいと思っていました」
日々練習しなければならないのに、なかなか時間が取れない。共演者の上達ぶりを見て、気は焦る。どうにか追いついて迎えたその場面は、撮り直しのあげく成功させた。
「1日目に撮った時は、3カ月頑張ってきて思い描いたゴールに、ちゃんと飛び込めなかった気がして、手ごたえがなかった。監督も同じように感じていたらしくて、次の日にもう1回、と言ってくださった。この時も含めて、監督との感覚のズレが一切なかったことは心強かったです」
おかげで「どの作品よりも疲れた」撮影となったが、同時に「どの作品よりも夢中になれたことが出来たし、幸せだった」と振り返った。
(撮影:毎日新聞写真部 平田明浩)
1985年福岡県生まれ。
ミュージカル「アニー」(99)で約1万人の中から選ばれ、デビュー。『リリイ・シュシュのすべて』(01)で映画デビュー。その後、『害虫』(02)、『1980』(03)、『花とアリス』(04)など、映画を中心にテレビ、CMでも活躍中。『星になった少年』、『変身』(05)、『ハチミツとクローバー』(06)など数多くの映画作品に出演し、女優としてのキャリアを重ねている。