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受賞者インタビュー

第62回コンクール

アニメーション映画賞・原惠一

「作りたい」が大きな喜びに

 「河童(かっぱ)のクゥと夏休み」は構想から公開まで、実に20年。前作「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」(02年)に続く受賞だが、感慨はひとしおだ。「しんちゃんシリーズは年に1本作っていたので、ラッキーという感覚でした。僕自身が作りたいものを作った今回は、喜びがさらに大きい」
 製作会社で漫画原作のテレビアニメを毎日作り、「こういう作品ばかりでは……」と思っていた80年代、木暮正夫の児童文学「かっぱびっくり旅」に出合った。江戸時代の河童が生き返り、4人家族と暮らす物語だ。
 「現代の日常を描いていながら、物語のにおいもする点に興味を持って」、映画化のアイデアをためていった。だが、企画はなかなか実現しない。「『なんだ、カッパかあ』という反応ばかり。それで、あまのじゃくの精神が働き、『絶対面白く作ってやるぞ』と」
 「キャラクターが前に出過ぎず、中心に物語があること」にこだわり、社会問題をサラリと取り込んだ。しかし、絵コンテ完成には2年もかかった。「こんなに不安が続いたことはなかったです」
 その苦労が実り、大人も満足させるアニメ監督としての評価は、揺るぎないものになった。
(文、撮影:毎日新聞社 岸桂子)

原 恵一(はら けいいち)
1959年 群馬県生まれ。PR映画の制作会社を経て、82年シンエイ動画に入社。 テレビ「ドラえもん」(テレビ朝日)の演出、「エスパー魔美」(テレビ朝日)のチーフディレクター、「クレヨンしんちゃん」(テレビ朝日)演出を担当。劇場映画『クレヨンしんちゃん暗黒タマタマ大追跡』(97)から『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(02)まで6本の『映画クレヨンしんちゃん』シリーズの脚本・監督。 『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(01)では、子どもだけでなく、大人たちをも感動させ、絶賛された。 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(02)にて第六回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、第57回毎日映画コンクールアニメーション賞、東京アニメフェア監督賞、第22回藤本賞奨励賞を受賞。 受賞対象作品『河童のクゥと夏休み』は木暮正夫の原作をもとに、自ら企画、脚本を担当し、5年という年月をかけて完成させた。