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受賞者インタビュー

第62回コンクール

男優助演賞・松重豊

初の賞−−「演じること楽しくて」

受賞作は「しゃべれども しゃべれども」。国分太一の演じる落語家に、話し方を習いにきた口下手な野球解説者という役である。「火焔(かえん)太鼓」の一席を熱演した国分は男優主演賞を受賞して、2人仲よく映コンの顔になった。「彼の落語は素晴らしかった」と絶賛。自身は主要登場人物の中で唯一、落語を演じなかったが、不器用な男の気持ちを味わい深く表現してみせた。  大作から独立系の小品まで硬軟を演じ分ける幅の広さで、07年公開の出演作は10本を超す人気者。「こんな役をやりたい、というのはないんです。これも縁。自分から発信するより、回ってきたものに100%の準備をして自分を出せれば」
 とはいえ、「しゃべれども〜」は「子供たちに堂々と見せ、家族で話もできた。出演したことを誇らしく思えたのがうれしい」。映画の強面(こわもて)、寡黙とは打って変わり、終始にこやかな受け答え。
 初めは映画を撮る方を目指したが、大学時代に芝居へ転向。初舞台から快感を覚え、「自分は役者」と自覚した。以来、舞台から映画、テレビと大活躍。撮影現場を掛け持ちすることもあるが、「役にどっぷりつかるのではなく、細かく抱えている方が精神のバランスはいい。素に近いものから大きくシフトするものまで、振れ幅を楽しめますから」。
 ただ、同じような役どころでも、以前に演じた経験を持ち込むことはないという。「引き出しを持たずに全部捨てて、次に集中して臨むようにしています」と、常に初心を忘れない。
 意外にも賞は初めて。「小学校以来この方、賞状をもらったことがない」とおどけるが、「演じることが楽しくて」。毎日映コンは初めの一歩となるだろう。
(文:毎日新聞社 勝田友巳、撮影:同 岩下幸一郎)

松重 豊(まつしげ ゆたか)
1963年、福岡生まれ。明治大学演劇科に入学。大学が決まって上京して、当時の『状況劇場』『天井桟敷』…初めての演劇体験に『これは青春のはけ口として最高だ!』と感動。 19歳に新宿の小劇場、スペースデンで初舞台。三谷幸喜率いる、東京サンシャインボーイズの初期の作品の数々に出演。大学4年間ではまだやりきれていないと思い、そのまま自然に役者に。 大学卒業と同時に蜷川スタジオ入り。'86年から'89年まで在籍。 舞台、海外公演、映画、ドラマ、そして1年半の休業期間も経て役者業がどんどん魅力的に。 現在はザズウに所属。