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学生映画見聞録

2007年3月のMVP

切ない、呪文。 Love Letter

中学校の同窓会で、当時好きだった女の子と再会した。
思い出話に花が咲くと、ふいに胸がぎゅっとつねられたような苦しい気持ちになる。
学生時代に告げられなかった数々の想いのせいだ。
そうして帰宅して、一人になると、ふとある映画を思い出した。
岩井俊二監督のLoveLetterだ。

物語は、婚約者を亡くした博子と、その婚約者の中学時代のクラスメイトで、
さらに彼と同姓同名だった藤井樹という女性(彼女は、同姓同名が原因でいじめられたので、良い思い出には思っていない)の手紙による偶然の出逢いから始まり、文通によって紡がれていく。
やがて博子の頼みから、樹は中学時代の彼とのエピソードを、苦い気持ちと一緒に思い出しながら、手紙にしたためていく。
その文章には、彼女自身も気がついていない彼への好意的な気持ちが見え隠れする。
つまりそれは、彼へのほろ苦くあったかいLoveLetterなのだ。
物語のラスト、後輩達が、学校の図書館ですごい発見をしたと樹にある本を届けにくる。
渡された本は、失われた時を求めて。
裏表紙の図書カードには、彼が描いたと思われる樹の姿がある。
そこで気づく、もう二度と触れられぬ過去への想い。
ぎゅっ、と照れくさそうに本を抱きしめる樹の姿に、自然と涙が頬を伝う。

何かのきっかけでふいに呼び起こされる切ない、気持ち。
笑いを句読点に語った、あの同窓会での思い出話は、
きっと今でも気がつかないほどの大切なものに満ちている、そうこの映画は教えてくれた。


投稿者:東北大学工学部 3年 柏 総一郎

[ 映画情報 ] Love Letter
監督 ● 岩井俊二
主演 ● 中山美穂 豊川悦司
製作 ● フジテレビジョン
公開 ● 1995年鑑賞情報 ● ビデオ