日本の裁判員制度が開始されるまで2年を切った。
制度自体は知っているが、実際の合議の場は一体どのような雰囲気なのだろうか?
そのヒントとなるのがこの映画である。
舞台は裁判所内の一室のみ。そこに陪審員という呼び名の12人が集まり、全員一致で被告が有罪か無罪かを採決する。この筋書きを見た私は、やる気に満ちた人々が侃々諤々と議論をする様子を想像していたのだが、最初の採決で12人は全員無罪に手を挙げる。あれ、もうおしまい?
そう思った直後、そのまま解散しようとする人々に対して「これでいいんですか?」と男性が異を唱えた。11人の心中で“面倒くさい人”というレッテルを貼られた彼が、無罪集団を突き崩すべく孤軍奮闘する。
銀行員、主婦、サラリーマン、喫茶店のマスター。職業も考え方もバラバラで、法律の知識など無い人が殆どだ。それでも序盤は、殺意の有無や正当防衛が成立するかなどをもっともらしく議論していた。ところが陪審員それぞれのバックボーンが見えてくるにつれて、私情だらけの主張だったり、議論自体を楽しんで新たな考え方を出してみたりといった実体が露になる。こんな議論は専門家ならば絶対にしないだろう。しかし、それこそ裁判員制度が求めているものなのかもしれない。次第に全員が真剣に事件について考えるようになり、一つの結論を導き出す過程は非常に引き込まれた。
映画のようにはいかなくても、裁判員に選ばれる日が楽しみだ。
投稿者:佐々木まりな 早稲田大学政治経済学部 3年
* [ 映画情報 ] 12人の優しい日本人
監督 ● 中原俊
主演 ● 塩見三省
製作 ● パイオニア
公開 ● 1991年鑑賞情報 ● DVD