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早稲田大学

安藤鉱平教授(&映画監督)インタビュー

デジタルとアナログ、芸術と科学、文化系と理科系のクロスオーバー (連載第4回)

Q 監督というと文科系の感じがしますが、安藤先生をはじめ理工系の方も多いですね。

そもそも、文科系、理科系と区別することがおかしいのです。
映画というのは、芸術と科学という両輪があってはじめて出来たメディアです。米国のアカデミー賞だって、“芸術・科学アカデミー”ですよね。

再三言っていますが、これからの映画・映像にデジタルは欠かせません。だから、“俺は文科系だからデジタルは知らなくていい”というものでもなく、といって、“俺はCGをやるからアナログ的な表現手法なんて知らなくていい”というものでもありません。

あくまでも、対象は“人間を描く”ことですから、デジタルを使いながら、シェークスピアの世界を表現できなければいけないのです。そういう意味では、プロデューサー、監督、そしてデジタル技術者に到るまで、全スタッフが、アナログの心を持ちながら、デジタルを使えなければならないのです。

演出の方法というのは、とかく、数学の幾何の証明問題を解くような手法と、歴史学的な語りくちの方法とが重なり合っていると言います。結末を想定して、そこに向かって証明してゆくような作業と、結末はともかく、そこに到る過程の機微を丹念に描く作業とです。  前者は、特にミステリーなんかはそうですが、全てが論理的にきちっと裏付けられていかねばなりません。そのとき、思いもかけない一本の線を描き足すことで、突然、全てが明快に証明されていくことほど小気味よいものはありません。これは、どちらかというと理科系の能力かもしれません。

一方、後者は、歴史などの描き方や文学的な語りくちで、文科系の能力と言えましょう。それらが相まって、演出は優れたものになるのです。
文科系・理科系を問わず、あらゆるもの、あらゆる事柄に興味を持ってクロスオーバーできる人間、そんな人が、質の高いクリエイターとして育つのでしょう。
(以下次号)

あんどう こうへい 1944年 東京都生まれ
パリ留学後、寺山修司の天井桟敷に在籍。TBSを経て、現在、早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授。
69年「オーマイマザー」(オーバーハウゼン国際映画祭入賞)、71年「息子達」(トノンレバン国際映画祭グランプリ)、94年「アインシュタインは黄昏の向こうからやってくる」(HD。ハワイ国際映画祭銀賞)、98年「フェルメールの囁き」(HD。モントルー国際映像祭グランプリ)などの作品がある。


良かったのは、映画の見方を教えてもらったこと

田淵史子さん  GITS2年生(’07 4月より) 桐朋学園演劇科卒

演劇科で演出をしていました。舞台に立ったりもしましたけど、脚本を書いたり、演出することに興味があります。大学を出て、劇団に入っていたんですが、一念発起して映画の道に進もうと。たまたまピアが主催する自主制作の映画に与えられるPFFアワードに入選したんですが、その中で早稲田のGITSに推薦してもらえるコースがあったんです。面接で安藤先生にお会いして、すごく魅力的な先生だったので、ここでやりたいと思いましたね。

自分で映画を作っていたときは、何かやみくもに作っていたところがあったんですが、映画ってこういう風に作られてるんだとか、流れがわかったり、社会的な位置づけが理解できてくると、自分がどういうところを詰めていけばいいかが見えてくるんですね。

一番良かったと思うのは、映画の見方を教えてもらったことでしょうか。それまでは俳優中心に見てたり、好きな映画をただ見てたんですけど、全体的にいろんなところが見られるようになった、と思いますね。(つづく)