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脚本家・橋本忍と映画監督・山田洋次−日本映画の頂点にいる二人の対談が実現!

<マスターズ・オブ・シネマ2008>  4月19日 早稲田大学8号館

映画とは「見る者に極端な緊張感を強いる特殊な見せ物」

 「今日ここに来た学生は幸せだ。日本映画の頂点にいるこの方の謦咳に接するだけでも値打がある」と脚本家橋本忍さんを山田洋次監督が紹介してこの豪華な対談が始まった。橋本忍さんは前日に90歳を迎えたというが、対談はほとんど橋本さんの独演会。年齢を感じさせないその語りに聴衆は終始圧倒され、魅了された。
 「映画とはどういうものか」という問いに橋本さんは、「映画は1秒間に24コマ、テレビは30コマだ。テレビの30コマというのは、人間が見る動きと同じで一番ノーマルな状態です。それに対して映画は24コマしかない。だから映画というのは、人間の目の錯覚を利用して、見るものに極端な緊張感を強いる特殊な見せ物です」と言う。名作「砂の器」では1コマ1コマ編集したという橋本さんならではの言葉だ。

シナリオライター受難の果てに生まれた「七人の侍」

 黒澤明監督とのコンビが多かった橋本さんの話題は名作「七人の侍」に。
 橋本さんは「これにはシナリオライター受難の歴史がある」と言う。最初は黒澤監督が、「今までになかったリアルな時代劇で、『侍の一日』はどうだろう」ということから始まった。国会図書館でいろいろ調べたが、1日に飯を2回食うのか、3回食うのか、というのがわからない。つまり、生活に関する記録がほとんどない、ということがわかったので、橋本さんはシナリオ作りを勝手にやめてしまったのだ。これには黒澤監督も激怒しが、どうすることもできない。すると今度は、昔の剣豪たちを集めてオムニバスを作ったらどうだろう、と黒澤さん。橋本さんは、そんなのは「本朝武芸小伝」を読めばみんなわかる。2週もあればシナリオはできる、と豪語して、実際に15日間で「日本剣豪列伝」を書いて見せたのだが今度は、「シナリオって起承転結があるんだよな」という。そして「クライマックスだけでつなぐのはシナリオじゃないんだよな」とも。というわけで結局これもオシャカになった。

オシャカになったシナリオのエッセンスが残った

 しかし、黒澤さんはまだ諦めない。今度は、名もしれない兵法者が武者修行する、というけどこれはどういうことだろう、という。そこから侍が雇われて、合戦の助太刀をする、というアイデアが生まれた。「3−4人じゃ少なすぎるから7−8人か。8人じゃ多いから7人だな」ということでこれが傑作「七人の侍」になった。そして実はこの侍ひとりひとりにオシャカになった「日本剣豪列伝」の武芸者のイメージが見事に生かされている。橋本さんは「ひどい目にあったんだよ。シナリオを3本作って日の目を見たのは1本だからね」と笑う。 しかし、消えてしまったシナリオが残した重要なエッセンスが、「七人の侍」という不朽の名作を残したのである。
以下次号