おとうと
監督:市川崑 幸田露伴の娘である幸田文の自伝的小説を、水木洋子の脚色で映画化。世界的にも高い評価を受け、市川崑監督の代表作のひとつとなった。
ある大作家(森雅之)を父に持つ娘、げん(岸恵子)は家事をすべてやり繰りしなければならなかった。母親(田中絹代)はリューマチで、手足が効かない上に、後妻で、心まで拗くれていた。子どもに対する思いやりはなく、げんは、弟・碧郎(川口浩)の面倒まで見なければならなかった。さらに、経済状態も思わしくなかった。
そんなある日、2、3人の友だちと一緒に万引きをしたため、碧郎が警察につかまった。げんの気持ちも分からず、碧郎は徐々に不良になっていく。父親は碧郎に一切関心がないかのように見え、母親も冷たい。そんな状況でも、げんは碧郎を必死でかばい続けるが……。
母親役の田中絹代が、歪んだ心を持つ後妻を憎いほどうまく演じ、岸恵子も負けじと家庭内で苛立つ娘役を好演。撮影・宮川一夫が新しい色彩処理「銀残し」を成功させているのにも注目。
その他の賞
監督賞 市川 崑「おとうと」大映
「女経(第二話)」大映
脚本賞 橋本 忍「黒い画集」東宝
「いろはにほへと」松竹
男優主演賞 小林桂樹「黒い画集」東宝
女優主演賞 岸 恵子「おとうと」大映
男優助演賞 森 雅之「おとうと」大映
「悪い奴ほどよく眠る」東宝
女優助演賞 田中絹代「おとうと」大映
撮影賞 宮川一夫「おとうと」大映
美術賞 下河原友雄「おとうと」大映
音楽賞 佐藤 勝「悪い奴ほどよく眠る」東宝
「筑豊のこどもたち」東宝
「独立愚連隊西へ」東宝
録音賞 神谷正和「やくざ先生」日活
「あした晴れるか」日活
教育文化映画賞
長編記録映画 「人間みな兄弟」部落・製作委員会
理科映画 「新昆虫記―蜂の生活」東映教育映画部
短編劇映画 「北白川こども風土記」共同映画社
科学映画 「マリン・スノー=石油の起源」東京シネマ
(企画賞) 「マリン・スノー=石油の起源」丸善石油株式会社
ニュース映画賞 朝日ニュース「血ぬられた安保新条約」を含む第797号日本映画新社
毎日ニュース「ハガチー氏デモ隊に囲まる」(特報添付)を含む第289号 毎日映画社
特別賞 ヘンリー小谷*日本映画の先覚者として近代的撮影技術を確立された功績
教育文化映画特別賞 吉田六郎*理科映画「新昆虫記―蜂の生活」に示した画期的撮影技術